今週の一言

¥545の協力釣りゲームが同時接続27万人を集め、同じ週に¥6,480と¥9,000の続編も好調に立ち上がった。価格帯の上下を問わず数字が伸びた、層の厚い一週間だった。

今週の注目タイトル

今週の主役は8月20日発売の『How to Fish』(¥545・評価4.58)で間違いない。¥880の38%オフという価格で、レビューは早くも10,681件(うち好評10,057件)に達している。AUTOMATONによれば配信直後に同時接続2万人を突破。Game*Sparkではその後約27万人に達したと報じており、週が明けた今もその勢いは増している。最大4人の物理演算釣りシミュレーターという触れ込みだが、実際には釣った魚を銃で仕留め、ボスと戦い、島を渡り歩くアクションゲームに近い。レビューでは「本当に神ゲーです」「楽しすぎてヤバい」といった短い賞賛が並び、「フレンドと一緒に遊べてある程度の難易度がある良いゲーム」と協力プレイの設計を評価する声が中核を占めている。手に取りやすい価格と、友人と集まってすぐ遊べる手軽さが噛み合い、拡散を後押しした形だ。

小規模タイトルでは、8月20日〜21日にかけて「人気の新作」入りした顔ぶれの充実が目を引いた。『VHOLUME』(¥900・評価4.76)は822件中802件が好評という圧倒的な支持を集めている。ブルータリズム建築の巨大都市を駆け抜ける一人称パルクールで、「爽快感〇 壁ジャン気持ちいい」という手触りへの評と、「BLAME!とか少女終末旅行の超巨大建造物群が好きな人にはハマると思います」という世界観への評が両輪になっている。

国産では『泥酔ローグとおしまいの吸血鬼』(¥1,264・評価4.86)が際立った。酔うとステータスが上がる代わりに幻覚が出るという「泥酔」システムと、イベントを後の階層に先送りできる「後回し」システムが噛み合っており、レビューでは「リソース管理とリスク・リターンのせめぎあいが面白い作品」「酒クズな設定もシステムと合ってる」と、題材とルールの一致を評価する声が集まった。同じく国産の『Lazy Witch's Factory レイジーウィッチーズファクトリー』(¥1,683・評価4.66)は、返済期限30分という制限時間つきの工場ビルダー。「サクっと遊べてかわいい素晴らしきローグライト工場ゲーム」という一文が、この設計の狙いをそのまま言い当てている。

このほか『Cozy Marbles ビー玉コロコロ大作戦』(¥1,080・評価4.72)、『Feed the Scorchpot』(¥1,280・評価4.66)、『整理工房 The Sorting Bureau』(¥945・評価4.32)と、1,000円前後で気軽に遊べるタイトルが揃って並んだ。8月に入ってから続いている傾向がそのまま継続している。

フルプライス帯も動いた。8月20日発売の『Mortal Shell II』(¥6,480・評価3.79)は定価据え置きでレビュー9,097件を集めた。スタミナ制限のない戦闘とシェル切り替えが本作の核で、「パリィ気持ちよすぎる 面白かった」と手触りを推す声が多い。設計面では「篝火的な場所がマップに対して少ない」という指摘が繰り返し挙がっており、ボスまでの移動距離がプレイ感を左右している。前作から広がったマップ規模に対して休息地点の配置をどう詰めるかが、今後のアップデートの焦点になりそうだ。

18日発売の『The Sinking City 2』(¥9,000・評価4.18)は、Frogwaresによる974件中822件が好評という立ち上がり。前作の探偵アドベンチャーから弾薬管理型のサバイバルホラーへ舵を切っており、「おぞましいクリーチャー達」のデザインへの評価と、日本語ローカライズの質の高さが支持されている。一方で初期インベントリが6枠と絞られている点については「インベントリ枠が少なすぎてアイテム管理が面倒臭い」という声があり、拠点の保管箱との往復頻度がテンポに影響している。この枠数はサバイバルホラーとしての緊張感を作る意図的な設計とも読めるため、今後の調整方針が注目される。

準新作圏では7月下旬発売組が引き続き厚い。『ドラゴンソード:アウェイクニング』(¥3,480・評価4.41)は7月22日発売でレビュー8,510件と、発売直後に指摘されていたローカライズやシナリオへの懸念を抱えたまま1か月を走り切り、数字を維持した。『Shift At Midnight』(¥1,350・評価4.32/9,950件)、『Staffer Retro: 超能力推理クエスト』(¥3,500・評価4.39)、『司令官、オークの大群です!』(¥999・評価4.27/3,481件)と、7月下旬に発売された新作群が8月に入ってからも好調を維持している。

急上昇ピックアップ

SteamDBのフォロワー増加ベースの急上昇では、『Mortal Shell II』が首位、『How to Fish』が2位、『The Sinking City 2』が3位と、今週の新作がそのまま上位を占めた。

Big Walk(急上昇#5)

『Untitled Goose Game』のHouse Houseによる協力アドベンチャーで、8月4日発売。¥2,300・評価4.61。ローンチ割引が終了して定価に戻った後もフォロワーを伸ばし続けている。2〜12人でだだっ広い世界を歩き回るという設計と、近接ボイスチャットを前提にした遊び方が、夏休みの集まりと噛み合った形だ。今週の『How to Fish』と合わせて、協力プレイの需要が続いていることがうかがえる。

気になるトピック

Valveの「Steam Deck」が8月25日に再入荷する。AUTOMATONによれば、5月の値上げ以降も入荷のたびに短期間で完売しており、今回は2か月以上ぶりの補充となる。先週の「Steam Machine」「Steam Controller」に続く動きで、Valveのハードウェア全般で需要が供給を上回る状態が続いている。

ソフト側では、8月21日に『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』の大型DLC「Cost of Hope」とUpdate 2.0が同時配信された(セガ公式Game*Spark)。数十時間分の新規コンテンツに加え、グラフィックの刷新や双眼鏡などの追加要素を含む更新で、発売から時間の経ったタイトルが大型アップデートで再び話題に上る好例になっている。

来週の見どころ

8月27日に注目作が集中する。『METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.2』(¥6,600)がSteamを含む各機種で発売され、KONAMIの発表のとおり『METAL GEAR SOLID 4』が初めてPCに移植される点が最大のトピックだ。同日には『STAR WARS ゼロ・カンパニー』、『Resonance: A Plague Tale Legacy』、『キャプテン翼2 WORLD FIGHTERS』と既存IPの新作が並ぶ。

28日には『Vampire Survivors』の新DLC「Legacy of the Bloodmoon」が控えており(AUTOMATON)、31日発売の『Breathedge 2』まで含めると、8月末は大型IPと継続運営タイトルが交錯する週になる。

8月26日にはドイツにて世界最大級のゲームイベント「gamescom 2026」が開催される。今月ここまでインディーが牽引してきた市場が、これらを受けて月末にどう動くかを見ておきたい。


執筆者:森嶋 要斗

ゲームマーケティングライター。『原神』の緻密なマネタイズから『ストリートファイター6』のコミュニティ形成まで、ヒットの要因をビジネス視点で分析。最新作を追う傍ら、休日は『Rimworld』のコロニー運営に時間を溶かしている。