ゲームを閉じたあと、ふと家族に連絡したくなったり、しばらく会っていない友人の顔が浮かんだりする。そんな体験をさせてくれるゲームが、Steamにはたくさんあります。

本記事では、派手なアクションや複雑な攻略とは無縁ながら、遊び終えたときに「隣にいる誰かを大切にしたい」と思わせてくれる作品を10本厳選しました。1時間で読み切れる短編ノベルから、じっくり浸れる大作までさまざま。価格やSteamトレンドでのレビュー評価(★5点満点)もあわせて紹介するので、あなたの琴線に触れる作品がきっと見つかります。

目次


①『Unpacking

段ボールから荷物を取り出して、新しい部屋に置いていく——ただそれだけなのに、誰かの人生が見えてくる不思議なパズルゲームです。ずっと手放されないぬいぐるみ、増えていく画材、ある日ふたつになる歯ブラシ。セリフもナレーションも一切ないにも関わらず、伝わってくることの多さに驚かされます。

軽快な効果音など作業ゲーとしてのプレイフィールも好評で、癒やしと発見が同居する体験を支持する声が多数。遊び終えたあとは自分の部屋のモノたちも愛おしく見えてくるはず。フォロワー数約7万人という人気も納得の一本です。

価格 2,050円 | レビュー評価 ★4.5 | レビュワー平均プレイ時間 約14時間 | 日本語対応 対応(インターフェース・字幕) | プレイスタイル シングル | 開発元 Witch Beam | パブリッシャー Balor Games | 平均実績解除率 52.7%(13/25) | フォロワー数 69,660人 | 発売日 2021年11月2日


②『ダレカレ

いつもと変わらないはずの朝、少女が起きると父親の代わりに見知らぬ男がいた——。かみ合わない会話と謎の薬を軸に、人の認識の「歪み」を体験させるインタラクティブノベルです。

全3章・約1時間という短さながら、真相に気づいた瞬間、それまでの場面すべての意味が塗り替わる構成は圧巻。単なる「泣けるゲーム」の域を超えて込められた深いメッセージは大きな反響を呼び、ゲームの社会的インパクトを称える「Games for Change Awards 2026」でBest in Impactを受賞しています(日本作品としては同部門初)。感情を強く揺さぶる題材のため、「心が元気な時に遊ぶのを推奨」というレビュワーの助言も添えておきます。

価格 600円 | レビュー評価 ★4.6 | レビュワー平均プレイ時間 約1時間 | 日本語対応 対応(インターフェース・字幕) | プレイスタイル シングル | 開発元 TearyHand Studio | パブリッシャー Kodansha | 平均実績解除率 59.0%(9/15) | フォロワー数 3,060人 | 発売日 2025年7月24日


③『Florence

仕事と睡眠とSNSの繰り返しに行き詰まる25歳のフローレンスが、1人の男性との出会いで世界の見え方が変わっていく様子を描いた短編ゲーム。セリフを使わず「仕掛け絵本」のような演出で感情を表現する手法が印象的で、作者自身が影響を公言している『ダレカレ』をはじめ、後続の短編ナラティブ作品にも大きな影響を与えました。

レビューでも前向きな気持ちになれる、背中を押してもらえるといった声が多数を占めます。恋の切なさすらも誰かの人生を豊かにした事実として肯定する眼差しに救われる人も多いはず。約1時間で、恋をした人の記憶をそっと撫でてくれる一本です。

価格 825円 | レビュー評価 ★4.5 | レビュワー平均プレイ時間 約1時間 | 日本語対応 対応(インターフェース・字幕) | プレイスタイル シングル | 開発元 Mountains | パブリッシャー Annapurna Interactive | 平均実績解除率 42.8%(5/12) | フォロワー数 19,705人 | 発売日 2020年2月14日


④『What Remains of Edith Finch

「一族が次々と若くして亡くなる」と噂されるフィンチ家。最後の生き残りである少女エディスが屋敷に戻り、封印された家族一人ひとりの部屋を訪ね、その人の最後の日を追体験していくウォーキングシミュレーターの傑作です。

驚くべきは、家族ごとに操作方法もビジュアルも一変すること。絵本になり、コミックになり、缶詰工場の単調な作業と白昼夢が同時進行する。死の物語が連なる構成なのに、残るのは陰惨さではなく「この人たちは確かに生きていた」という手触りです。レビューでも儚さの中でなぜか勇気づけられる、といった複雑な余韻を語る声が並びます。家族という不思議な繋がりを描いた金字塔的作品です。

価格 2,650円 | レビュー評価 ★4.7 | レビュワー平均プレイ時間 約3時間 | 日本語対応 対応(インターフェース・字幕) | プレイスタイル シングル | 開発元 Giant Sparrow | パブリッシャー Annapurna Interactive | 平均実績解除率 28.1%(3/9) | フォロワー数 111,621人 | 発売日 2017年4月25日


⑤『Before Your Eyes

ウェブカメラがプレイヤーの「まばたき」を検知し、目を閉じるたびに物語が先へ進んでしまうという、世界でも類を見ない操作方法のナラティブアドベンチャーです。死後の世界へ向かう魂となって自分の人生の記憶をたどるのですが、大切な場面ほど「まばたきしたら終わってしまう」ため、必死に目を見開くことになります。

人生が取り返しのつかない速さで過ぎることを、システムそのもので体験させる設計は見事のひと言。Steamトレンドでのレビュー評価★4.8は本記事の10本でも屈指の数字です。カメラなしでもクリック操作で遊べますが、ぜひカメラを繋いで遊んでみてください。

価格 1,200円 | レビュー評価 ★4.8 | レビュワー平均プレイ時間 約2時間 | 日本語対応 対応(インターフェース・字幕) | プレイスタイル シングル | 開発元 GoodbyeWorld Games, Nice Dream | パブリッシャー Skybound Games | 平均実績解除率 26.2%(3/11) | フォロワー数 20,901人 | 発売日 2021年4月9日


⑥『To the Moon

臨終を迎えようとする老人ジョニーの「月に行きたい」という最後の願いを叶えるため、2人の医師が彼の記憶に潜り、人生を最新の記憶から幼少期へと逆向きにたどっていく物語。なぜ月なのか、本人すら覚えていない理由を探るうちに、彼が何を忘れ、何を忘れられなかったのかが明らかになっていきます。

懐かしいドット絵のRPG風画面ですが戦闘はなく、あるのは物語だけ。終盤ですべての伏線が一つの意味に収束する瞬間の破壊力は必見です。2012年の発売から10年以上、いまなお★4.7の評価を保ち続ける名作です。

価格 980円 | レビュー評価 ★4.7 | レビュワー平均プレイ時間 約5時間 | 日本語対応 対応(インターフェース・字幕) | プレイスタイル シングル | 開発元 Freebird Games | パブリッシャー Freebird Games, Serenity Forge | 平均実績解除率 27.6%(0/1) | フォロワー数 72,931人 | 発売日 2012年9月8日


⑦『Spiritfarer®: Farewellエディション

死にゆく者たちを乗せて海を渡り、最期は死後の世界へと見送る「フェリーマン」となるマネジメントゲーム。船を増築し、畑を耕し、乗客一人ひとりの好物を作り、願いを叶えていくうちに、彼らとの別れがどんどん惜しくなっていきます。

この「別れの準備をする時間の長さ」こそが本作の核心で、平均プレイ時間41時間はそのまま、大切な誰かと過ごせる時間の長さでもあります。手描きアニメーションの美しさも特筆もの。本記事で唯一の大ボリューム作なので、じっくり浸りたい時期にどうぞ。

価格 3,850円 | レビュー評価 ★4.6 | レビュワー平均プレイ時間 約41時間 | 日本語対応 対応(インターフェース・字幕) | プレイスタイル 協力プレイ | 開発元 Thunder Lotus | パブリッシャー Thunder Lotus | 平均実績解除率 22.9%(9/39) | フォロワー数 120,665人 | 発売日 2020年8月19日


⑧『限界OL海へ行く

昼休み、疲れ切ったOLのお姉さんが会社に戻らず、衝動的に海へ向かってしまう短編ノベルゲーム。海浜公園やタワマンなど「お台場」周辺と思われる舞台設計もリアルで、身に覚えのある人はとことん共感できるタイトルです。

主人公が同じように現実からはみ出した人たちと交わす会話の温度感が絶妙。選択肢や分岐などがない淡々とした展開も主人公の限界っぷりを表すひとつの演出になっており、うまくいかなくても懸命に生きている人間の心情が見事に表現されています。劇的な救済ではなく、少しだけ心を軽くしてくれる作品です。

価格 1,000円 | レビュー評価 ★4.6 | レビュワー平均プレイ時間 約1時間 | 日本語対応 対応(インターフェース・字幕) | プレイスタイル シングル | 開発元 veryOK | パブリッシャー veryOK | 平均実績解除率 72.3%(4/5) | フォロワー数 374人 | 発売日 2024年1月31日


⑨『MR. SAITOU

残業続きの孤独な毎日を送り、生きる意味を見失っていた会社員サイトウさん。事故で入院した彼が目を覚ますと、自分も他人も奇妙な生き物の姿になっていて――。名作『Rakuen』の作者が手がけた、戦闘のない短編アドベンチャーです。

癖の強いキャラクターとゆるい笑いで油断していると、働くことや生きることについての鋭い言葉の不意打ちで刺される作品。大人として、会社員として生きることの難しさや、それでも誰かと友達になれたり自分を必要としてくれることが救いになることを描いた温かい物語です。ドット絵の完成度やライブシーンの演出を称える声も多く、疲れた社会人でも遊べる約2時間の良作です。

価格 1,400円 | レビュー評価 ★4.7 | レビュワー平均プレイ時間 約2時間 | 日本語対応 対応(インターフェース・字幕) | プレイスタイル シングル | 開発元 Laura Shigihara | パブリッシャー Laura Shigihara | 平均実績解除率 55.1%(6/10) | フォロワー数 3,911人 | 発売日 2023年3月24日


⑩『Who Was That ~顔神経衰弱~

「人間の顔」を使って神経衰弱をするという発想に驚かされるゲーム。人の顔を覚えるのが苦手な人にこそ挑戦してほしい作品です。

ただの一発ネタでは終わらないのが、めくっているのが「主人公がこれまでの人生で関わってきた人たちの顔」であるという点。ステージを進めていくうちに「人の顔を覚えるとはどういうことなのか」「自分は今まで出会ってきた人の顔をどれだけ思い出せるんだろう」という、哲学的な問いも立ち上がってくる設計に引き込まれます。450円・約1時間で遊べる、変化球の良作です。

価格 450円 | レビュー評価 ★5.0 | レビュワー平均プレイ時間 約1時間 | 日本語対応 対応(インターフェース・字幕) | プレイスタイル シングル | 開発元 ギュルダンゲームズ | パブリッシャー ギュルダンゲームズ | 平均実績解除率 67.8%(2/3) | フォロワー数 - | 発売日 2025年9月26日


まとめ

今回は、プレイすると誰かを大切にしたくなるゲーム10選を紹介しました。

  • まず短編から試したい人 → ダレカレ、Florence、Who Was That ~顔神経衰弱~
  • 記憶と人生の物語に浸りたい人 → To the Moon、Before Your Eyes、What Remains of Edith Finch
  • 疲れた心を労わりたい人 → 限界OL海へ行く、MR. SAITOU
  • モノや暮らしから誰かを感じたい人 → Unpacking
  • 時間をかけて「見送り」を体験したい人 → Spiritfarer

どの作品にも共通するのは、プレイヤーを他人の人生の「見物人」にしておかないことです。荷物を置くのも、カードをめくるのも、まばたきをするのも、すべて自分の手でやらされるからこそ、遊び終えたときに残るのは感想ではなく実感になります。気になった作品があれば、ぜひ今夜1時間だけ試してみてください。


執筆者:たろちん(@tarochinko

ライター、ゲーム実況者。1985年生まれ。Webニュースサイト「ねとらぼ」のライター・編集者を経て、現在フリー。お酒をこよなく愛する人間だったが、現在は生涯禁酒の身。著書に『毎日酒を飲みながらゲーム実況してたら膵臓が爆発して何度も死にかけた話』。


※本記事のゲーム情報・価格・レビュー評価は「Steamトレンド(gametrend.jp)」の各ゲーム個別ページを参照しています(執筆時点)。レビュー文は要旨を抜粋・要約したものです。