2026年9月第1週(8/31〜9/6) Steam日本市場 週次トレンドレポート
今週の一言
9月頭に大型新作が集中し、最新作ランキングの顔ぶれが大きく入れ替わった。¥500から¥9,790まで価格帯が広く分散したまま、上位10本が並んでいる。
今週の注目タイトル
最新作ランキング首位は9月3日発売の『鬼武者 Way of the Sword』(¥8,990・評価4.30)。カプコンによるシリーズ最新作で、AUTOMATONによれば発売翌日にSteam同時接続4万人を超えている。レビューは8,090件中7,071件が好評。評価の中心は戦闘の手触りで、「一閃が気持ちいい」という一撃の感触への言及と、「難易度設定が絶妙で素晴らしい」という調整への評価が繰り返し現れる。初心者でも比較的プレイしやすいハードルの低さと、フロム・ソフトウェア作品のような手応えの両立が受け入れられた形だ。
一方で具体的な指摘も出ている。「カメラの微振動がめっちゃ気になる」という声のとおり、細かな画面の揺れが酔いにつながるというカメラについての報告が複数ある。演出面では「ムービーが終わるとムービーが始まる」と、カットシーンの密度が操作の流れを分断するという指摘も見られる。

8位の『The Blood of Dawnwalker』(¥9,790・評価4.10)は9月2日発売。『ウィッチャー3 ワイルドハント』の開発陣が立ち上げたRebel Wolvesの第1作で、パブリッシャーはバンダイナムコエンターテインメント。レビュー11,776件中9,706件が好評と、今週最多のレビュー数を集めた。14世紀ヨーロッパを舞台に、人間と吸血鬼の姿を行き来する主人公を操作する。「探索やクエストの密度が濃い!」「ほんとたのしーw」と、サイドクエストの作り込みを評価する声が目立つ。スキルポイントの振り直しができない仕様や、戦闘中にカメラが壁に潜り込む挙動については改善要望が出ている状態だ。加えて、日本語版の過度な暴力表現規制によって大きく評価を落としている。メーカー側によると現在解決に向けて動いているとのこと。
低価格帯では2本が強く伸びた。4位『BOMBANANA!』(¥651・評価4.72)は9月2日発売の3人協力パズルで、1,242件中1,204件が好評。3人がそれぞれ「爆弾に触れるが、見えない」「マニュアルは読めるが、話せない」「爆弾も仲間も見えるが、聞こえない」という「見ざる言わざる聞かざる」に対応した制約を負い、噛み合わない情報をすり合わせて爆弾を解除する。レビューには「神ゲー、友情を確かめ合おう」「最高にバカゲーで面白い」「笑いが絶えない事でしょう」と、伝わらないこと自体を楽しむ設計への評価が並ぶ。

6位『デスゲームの報告書』(¥500・評価4.70)は9月1日発売、ゲーム配信者のshu3による個人開発の推理アドベンチャー。643件中620件が好評で、参加者全員の死因を資料から特定して報告書を提出するという構成だ。「オブラディン系列といえばいいのか、資料紐解き系推理ゲームまじで一生やってられる」とジャンルの系譜で語る声のほか、「500円以上のクオリティが十二分にある作品」「UIが使いやすくてかなり快適でした」と、ゲーム内でメモが取れる導線を含めた作り込みが支持されている。
先週取り上げたタイトルの数字も動いた。5位『METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.2』(¥6,600・評価3.54)は、先週時点の3.34から上昇している。レビューも52件から65件へ増えた。
このほか2位に9月4日発売の『ダンジョンセトラーズ Dungeon Settlers』(¥2,108・評価3.99)、3位に3週連続で上位を保つ『How to Fish』(¥880・評価4.63)が入った。9位『NBA 2K27』(¥9,460・評価3.05)は1,484件中771件が好評という立ち上がりで、シリーズ恒例のGMモードまわりの作り込みが論点になっている。10位『Halloween: The Game』(¥5,100・評価3.51)は正式発売を9月8日に控えており、先行アクセス期間中の数字だ。

準新作ランキングは1位『紅の砂漠 Enhanced』(¥7,744・評価4.15)、2位『パルワールド』(¥2,380・評価4.6)。それぞれ20%オフ、30%オフで、先週から順位を入れ替えている。
急上昇ピックアップ
急上昇の首位は『The Blood of Dawnwalker』、3位に『鬼武者 Way of the Sword』と、今週の大型新作が上位を占めた。4位の『How to Fish』は8月26日から2週間にわたって上位圏に残り続けている。
Bodycam(急上昇#2)
2024年6月発売の旧作が、新作2本に挟まれて2位につけた。9月2日に大型アップデートV0.8が配信され、あわせて20%オフの¥3,120で販売されている。評価は先週の3.87から3.96へ上がり、レビューは55,415件まで積み上がった。発売から2年以上経ったタイトルが、アップデートと値引きを同時に実施して新作と並ぶ注目を集めた形で、運営型タイトルの再浮上パターンとして参考になる動きだ。
STAR WARS ゼロ・カンパニー(急上昇#5)
8月27日発売のターン制タクティクスは、評価が先週の3.88から4.03へ上昇した。レビュー数も8,715件から16,098件へとほぼ倍増している。先週指摘した高スペック環境での安定性については引き続き報告があるものの、母数の増加とともに数字は上向いた。発売直後の不具合報告が一巡した後に評価が落ち着く、という典型的な推移をたどっている。

気になるトピック
『The Blood of Dawnwalker』の日本語版で、流血表現に海外版との差異があることが発売後に指摘された。吸血鬼を主題にした作品でありながら血の描写が変更されており、Steam版にも同じ内容が適用されている(Game*Spark)。開発元のRebel Wolvesはプレイヤーからの意見を受けて制限の撤廃に着手しており、他言語の追加とあわせて詳細を近日中に発表するとしている(ファミ通.com)。Steamでは言語設定を切り替えて遊ぶユーザーも多く、地域版ごとの表現差がそのまま購入判断に影響する構造がはっきり見えた事例といえる。対応の内容と速度は、今後同種の判断を迫られるパブリッシャーにとっての参考事例になりそうだ。
継続タイトル側では、『Civilization VII』に核の時代を扱う無料アップデート「Arc of Tomorrow」が2027年に配信されると発表された(4Gamer)。国内では『Craftopia』が6周年アップデートとあわせて2027年の正式リリースを予告している(4Gamer)。今週の急上昇で『Bodycam』が上がったこととあわせると、無料アップデートを起点に再び注目を集める運営型タイトルの動きが、この時期に重なっている。
来週の見どころ
9月頭のラッシュが一段落し、来週は中規模タイトルが中心になる。9月8日には『Halloween: The Game』が正式発売を迎える。先行アクセス期間中の評価は3.51で、不具合や挙動に関する報告が出ている段階のため、正式発売までにどこまで整うかが焦点だ。同日には『バスシミュレーター27』と『Honeycomb: The World Beyond』、9月9日には『Warlord: Awaji』、10日には『WARDOGS』が控える。
執筆者:森嶋 要斗
ゲームマーケティングライター。『原神』の緻密なマネタイズから『ストリートファイター6』のコミュニティ形成まで、ヒットの要因をビジネス視点で分析。最新作を追う傍ら、休日は『Rimworld』のコロニー運営に時間を溶かしている。