2026年8月第5週(8/24〜8/30) Steam日本市場 週次トレンドレポート
今週の一言
『METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.2』の発売で旧作IPが最新作ランキングの上位を固めた。ただし首位を守ったのは、先週から走り続けている¥880の釣りゲームだった。
今週の注目タイトル
最新作ランキング首位は2週連続で『How to Fish』(¥880・評価4.62)。注目したいのは、38%オフのローンチ割引が終了して定価に戻った後も伸びが止まっていない点だ。レビューは先週時点の10,681件から41,413件(うち好評39,285件)まで積み上がり、評価も4.58から4.62へ上がっている。割引が初速を作り、その後は口コミが引き継いだ形で、値引きをきっかけに入った層がそのまま定価購入層を連れてきたことがうかがえる。
2位には8月27日発売の『METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.2』(¥6,600・評価3.34)が入った。今週の市場で最も読み解きがいがあるのがこのタイトルまわりだ。というのも、コレクションに収録される『METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS (MASTER COLLECTION版)』(¥3,850・評価4.65)は単体でも販売されており、そちらは1,495件中1,429件が好評という高い数字を出している。同じく単体販売の『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER (MASTER COLLECTION版)』(¥2,750・評価3.45)と合わせると単品合計はちょうど¥6,600で、コレクション版は同額に購入特典が上乗せされる構成になっている。

評価が分かれた理由は、レビューの論点が両者で異なるためだ。MGS4単体側は移植の出来そのものへの評価が中心で、「PS3に囚われた精神を解き放つ…!」「60FPSとなった恩恵を感じられた」と、フレームレートと読み込み速度の改善を歓迎する声が並ぶ。シリーズ屈指の大作がPCで初めて遊べるようになったこと自体が、大きな支持を集めている。
対してコレクション本体側は、レビュー52件と母数がまだ小さいものの、収録内容と仕様を総体として評価する視点が中心になっている。具体的な指摘として最も多いのが「オートセーブがないこと」で、「ゲーム部分の現代化が足りていません」と、2026年のリリースとしての作り込みを問う声も見られる。原作の再現性を優先した設計方針が、どこまで現代的な利便性と両立できるかという論点だ。シリーズの節目を歓迎する「待たせたな」という一言も並んでおり、レビュー数が増えるにつれて数字がどこに落ち着くかは来週以降の注目点になる。
3位は8月27日発売の『STAR WARS ゼロ・カンパニー』(¥6,900・評価3.88)。電ファミニコゲーマーによれば、配信初日に同時接続約7万人を記録している。開発はBit Reactor、パブリッシャーはElectronic Artsで、クローン大戦末期を舞台にしたターン制タクティクスだ。レビューでは「XCOMの正当な続編と言っても差し支えない」「時間が奪われる神ゲー」と、10年以上待たれていたXCOM系タクティクスの新作としての評価が中核を占める。一方でRTX 4090級の環境でもクラッシュやフリーズの報告が上がっており、安定性の改善が当面の課題になりそうだ。
新作では6位『魔女の庭』(¥1,540・評価4.49)が目を引いた。8月28日発売、韓国のTeam Tapasによる2Dローグライトアクションで、1,575件中1,451件が好評。1回30分程度で区切れる構成と手描きのキャラクターデザインが支持を集めており、レビューには「独特の世界観の作品に引き込まれる良作」「かなり名作」といった評が並ぶ。アップデート後にアップグレードポイントが初期化される不具合の報告があり、対応の速さが評価の維持を左右しそうだ。
8位『STEINS;GATE RE:BOOT』(¥5,742・評価4.30)は、『STEINS;GATE』のリブート版として8月19日に発売。E-moteによるキャラクター表現の刷新が最も評価されている点で、「キャラがぬるぬる動いて可愛かった」「やはりSTEINS;GATEは面白い」と、原作既プレイ層と新規層の双方から支持を得ている。ウルトラワイド解像度への非対応や解像度設定が保持されない点など、PC版としての作り込みに関する要望が挙がっており、こちらもアップデートでの対応が待たれる。

このほか4位に『Big Walk』(¥2,300・評価4.64)、9位に『Mortal Shell II』(¥6,480・評価3.76)、10位に8月26日発売の『影のダンジョン』(¥1,215・評価4.00)が並んだ。『Big Walk』は8月4日発売から4週目に入っても上位を維持しており、協力プレイの需要が夏を通して続いていることがうかがえる。
準新作ランキングは1位『パルワールド』(¥2,380・評価4.6)、2位『Forza Horizon 6』(¥8,330・評価4.1)。パルワールドは30%オフ、Forza Horizon 6は15%オフと、いずれも割引が順位を押し上げた形だ。7月上旬発売のパルワールドが2か月近く上位に残り続けている点は、正式リリース後の運営が支持を保っていることを示している。
急上昇ピックアップ
急上昇は週の後半で顔ぶれが大きく入れ替わった。週前半まで首位を守っていた『Mortal Shell II』は8月25日を最後に順位を譲り、週末には5位まで移動している。
How to Fish(急上昇#1)
8月23日から2位につけていたが、8月26日に首位を奪い、そのまま週をまたいで6日連続で1位を維持している。販売面だけでなくフォロワー増加でも先頭に立った形で、割引終了後の伸びが一過性ではないことを裏づけている。
ウィッチャー3 ワイルドハント コンプリートエディション(急上昇#4)
2015年発売の旧作が8月28日に5位で突如ランクインし、そのまま4位へ上げた。きっかけは8月26日のgamescom Opening Night Liveで発表された『ウィッチャー3 ワイルドハント リマスター』だ。9月29日配信で、既存所有者は無料でアップグレードできる(AUTOMATON)。無料アップグレードの告知が新規購入を呼び込むという流れは、旧作IPの再活性化パターンとして注目に値する。同じくgamescomで発表があった『ELDEN RING』(¥9,020・評価4.53)も8月30日に13位、今回のレポート期間外ではあるが翌31日には9位と上げてきている。
Resonance: A Plague Tale Legacy(急上昇#8)
8月27日発売のAsobo Studio新作で、¥8,980・評価4.51。1,838件中1,705件が好評と、今週発売のフルプライス作では最も高い好評率をつけている。急上昇でも13位→11位→8位と着実に上げており、レビューでは「戦闘は簡単で操作性がよい」「ゲーム自体は面白い」と、シリーズ未経験でも入りやすい作りが評価されている。逃走パートの反復や、ゲーム内書物のページ表示が正しく開かない不具合への指摘もあり、この規模のタイトルとしては初動の細かな調整が残っている状態だ。

このほか8月25日発売の『Aliens: Fireteam Elite 2』(¥6,490・評価3.32)と『1666: Amsterdam』(¥3,465・評価3.42)が6〜7位に、2024年発売の『Bodycam』(¥3,900・評価3.87)も9月2日配信予定の大型アップデートV0.8の告知を受けて、週を通して2〜4位を維持した。
気になるトピック
gamescom 2026にあわせた発表が相次いだ週だった。中でも『グランド・セフト・オートVI』の約26分におよぶPS5実機映像が公開された件は反響が大きい(4Gamer)。ただしPC版については、Rockstar Gamesが据え置き機との同時発売を見送る方針をとっており、現時点でSteam版のアナウンスは出ていない(AUTOMATON)。とはいえシリーズの過去作はSteamで配信が続いており、『グランド・セフト・オートV エンハンスト』(¥2,851・評価4.11)は現在56%オフ、レビュー219,249件のうち181,390件が好評という規模を保っている。今回のレポート期間からは外れるが、映像公開の反響はSteam側にも及んでおり、8月31日には同作が急上昇19位に顔を出した。PC版の発表を待つ層の関心が、まず旧作の購入に向かっている状況がうかがえる。
Steam上で直接動きがあった発表としては、『Wolcen 2』が挙げられる。2020年発売の前作は不安定な立ち上がりで知られたが、その続編としてストアページが開設され、あわせてプレイテストの募集も始まった。「シャドウフォーム」の追加とエンドコンテンツの再設計が主眼で、前作の課題にどう向き合うかが焦点になる。gamescomにて『State of Decay 3』のアルファ版が公開され、Unreal Engine 5への移行とマップ規模の拡大が示された(4Gamer)。このほか『Football Manager 27』の11月発売も正式に発表されており、シリーズものの続報が集中した週だった。

今週の急上昇で『ウィッチャー3』をはじめとする旧作が軒並み上がったことからも、発表イベントが既存タイトルの販売に直結する構造がはっきり見て取れる。新作の発表が、まず手元で遊べる旧作へ需要を流し込むという流れは、9月以降の発表ラッシュでも繰り返されそうだ。
来週の見どころ
9月頭は国内外の大型タイトルが並ぶ。9月4日には『鬼武者 Way of the Sword』が発売される。当初の9月25日から3週間前倒しされた経緯があり(ファミ通.com)、体験版の反応も含めて注目度は高い。9月3日には『The Blood of Dawnwalker』が控える。『ウィッチャー3』の開発陣が立ち上げたRebel Wolvesによる初作で、昼夜で行動が変化する30日間の時間制限つきRPGという設計が焦点だ(日本語版公式サイト)。今週『ウィッチャー3』本体が急上昇に返り咲いたことを踏まえると、この2作が互いの注目度を押し上げる展開も考えられる。
同じ週には『NBA 2K27』(9月3日)、『Scavland』(9月4日)、『Breathedge 2』(8月31日)も並ぶ。 さらに9月3日にはState of Playが放送される。今回は「State of Play」と「State of Play 日本」の連続放送が予告されているが、これらを受けて新規の大型タイトルが市場をどう動かすかを見ておきたい。
執筆者:森嶋 要斗
ゲームマーケティングライター。『原神』の緻密なマネタイズから『ストリートファイター6』のコミュニティ形成まで、ヒットの要因をビジネス視点で分析。最新作を追う傍ら、休日は『Rimworld』のコロニー運営に時間を溶かしている。